JSSST2023 Talks

Posted on September 12, 2023

同期的データフロープログラミングにおける逆計算の構成方式

白井瑞貴,森口草介,渡部卓雄
日本ソフトウェア科学会第40回大会, Sep. 12 - 14, 2023.

Abstract

プログラムの出力から入力を求めることを逆計算という.本論文では同期的データフロープログラミングにおける逆計算を扱う.特に,順計算と逆計算の両方を逐次的に行えるという性質を保証しながらプログラムを構成する手法について議論する.同期的データフロープログラムは,入力をすべて読んで出力を返して停止するのではなく,列として順に与えられる入力に対して出力を返し続ける必要がある.したがってその逆計算の手法は一般的なパラダイムのものと異なる.本論文では同期的データフロープログラミングのパラダイムを列の変換としてモデル化し,それに対する逐次的な逆計算の概念を定義する.さらに,逐次的な逆計算が可能なシステムを可逆関数を用いて構成する方法を定義することで,逐次的な逆計算のための制約を関数の可逆性に帰着する.この議論は逐次的な逆計算を保証する同期的データフロー言語の設計の指針になりうる.


組込みシステム向けFRP言語における状態遷移モデルに基づいた周辺装置の状態制御

瀧本哲史, 森口草介, 渡部卓雄
日本ソフトウェア科学会第40回大会, Sep. 12 - 14, 2023.

Abstract

小規模組込みシステム向けFRP言語XStorm では,状態遷移モデルに基づいて時変値間の関係を動的に変更でき,状態依存動作を簡潔に記述できる.しかし,例えば消費電力削減のため,状態に応じて使用する周辺装置を切替えるといった際に,C言語で書かれた周辺装置のドライバコード内で切替え処理を書く必要があった.その結果,XStormプログラムとドライバコードの間のロジックの不整合が検出できない.本研究では,XStormの状態遷移モデルを発展させ,状態ごとに周辺装置の電源等の状態(モード)を宣言できるようにすることで,FRP言語内での周辺装置のモードの切替えも含めたロジックの記述を可能にした.これにより前述の問題を解決したほか,ランタイムによるモードの自動管理を行えるようになった.