SIGEMB63 Talk

Posted on July 14, 2023

小規模組込みシステム向けFRP言語における離散イベント機構の導入とその評価

十河健人, 辻󠄀裕太, 森口草介, 渡部卓雄
情報処理学会第63回組込みシステム研究会(SIGEMB63),キャンパスプラザ京都/オンライン,2023年7月14日.

概要

関数リアクティブプログラミング(FRP)はGUIや組込みシステムなどのリアクティブシステムを記述するためのプログラミングパラダイムであり,時間と共に変化する値の抽象化である時変値を宣言的に組み合わせることによってプログラムを記述する. Emfrpは小規模組込みシステム向けFRP言語であるが,特定のタイミングで更新処理を行うといった離散的な振る舞いを持つ時変値の記述やそのような時変値を持つプログラムの実行効率に課題がある. PbEmfrpは,これらの課題の解決のためEmfrpに対して周期的タスクに関する拡張を行った言語である.PbEmfrpでは,各時変値の更新が周期的なタイミングで行われることを仮定し,タイミングを表現する型を導入することで周期的タスクのより簡潔な記述が可能となった. 本研究では,PbEmfrpに対して非周期的なイベントも扱えるよう拡張したEvEmfrpを提案する. 拡張された構文や型システムの定義,周期的タスクと非周期的なイベントを同時に扱うためのより適切なランタイムの生成手法を説明し,実装した処理系を用いた評価実験によりEvEmfrpの有用性を示す.